リスクは、一般に「危険」と和訳されることが多いため、マネーやファイナンスの観点からは、保有している資産価値が下落したり、目減りしたりすることを指すと考えられています。しかし、ファイナンシャルプラニング上のリスクとは、「将来の事象が未知であることによって生じる経済的な不確実性」のことをいいます。将来の不確実な家計の収支を、一定の過程の下で数値化して健全性の維持に努めようとするファイナンシャルプランにとっては、つまり、「将来における資産価値の下落や目減り」がリスクなのではなく、「将来において、その価値が確実には認識できないこと」をリスクと言っています。つまり、この考え方でいえば、保有している資産が、想定を超えて値上がりしてしまうということも、一種のリスクであると考えることになります。
また、このような将来に対する不確実性は、なにも資産の増減だけではありません。例えば、世帯主の死亡や病気による収入の減少、地震や火事などの災害による被害、自動車事故や日常生活における事故などによる損害賠償の発生など、通常の家計の維持運営に、大きな影響を及ぼすような未知の事象は世の中にあふれています。
整理をすると、ファイナンシャルプラン上は、資産を保有するしないにかかわらず、株式、金利、為替、投信などの金融商品の将来の数値、価値や、人間の生命、健康、事故、収入といった事象の将来に起こりうる結果についての未知から発生し、私たちは、あらかじめそれを想定した上で、保険の活用をはじめとした、リスク管理をしておく必要があるということです。
これを、リスクマネジメントといいます。
上記のように発生するリスクに対して、私たちはあらかじめ対応しておく必要があるとともに、そのリスクをうまく処理する準備をしておかなくてはなりません。このリスクの処理技術は、一般に「リスク・コントロール」と「リスク・ファイナンシング」に分けて考えることができます。

上記のリスク処理について、各々の意味するところを簡単に記載しておきます。
リスク・コントロール
①リスクの回避
はじめからリスクを生じさせないこと、直面しているリスクを消滅させることです。
例としては、損害賠償の請求が発生しないように自動車の運転をやめるなどがあります。
②リスクの制御
損害の発生頻度を軽減する損失防止と、損失規模を軽減する損失軽減があります。
家庭に消火器を備えるということは、火事の発生の予防には役立ちませんが、いったん火事が
発生した折には、消火活動により損失を軽減させることができるため、損失の軽減にあたります。
③リスク結合
損失にさらされている危険単位を増やすことで、リスクに対する予知能力を増やすものです。
例えば、自動車を多数所有するタクシー会社は、自動車保険に入らないことがあります。
多数の自動車を保有することで、基本的な情報を多く保有できるため、ある程度の精度で
損害額が予想できるからです。個人では、この結合が難しいため、同様の効果が期待できる
損害保険に入ることになります。
④リスク分離
危険単位をより小さな独立の単位に分けて、損失の影響を減少させることです。銀行預金を
分散して行えば、銀行の破綻などによるリスクを低減できます。
⑤移転(リスク・コントロール型)
損失にさらされている物や活動を他の個人や法人に移転させることです。ビルを所有して
いれば、いつか火災にあうかもしれません。ところが、このビルを他人に売却すれば、ビルに
火災が起こったとしても損害を免れることができます。
リスク・ファイナンシング
リスク・ファイナンシングは、大きく保有と移転に分かれることになります。
①保有
リスクの経済的影響を、自らが負担することを指します。経常費として賄う、引当金を積んでおく、
借り入れをしてしのぐなどの方法があります。
②移転
リスク・ファイナンシング型の移転は、経済的影響を他者に移転する対象が保険会社になります。
また、一部、保険会社以外も含む分類方法もあります。
