日本の個人金融資産の総額は、2009年12月末時点で、1,456兆円です。これは、国民一人あたり、1,140万円の資産を持っている計算になります。
ところが、私たちは、そうした資産の半分以上を現金や預貯金で保有し株式や債券などの有価証券は、全体の15%に過ぎません。一方、外国に目を向けると、米国では、この比率が逆転し、現金・預貯金が14%、株式や有価証券が54%となります。ヨーロッパの国を見ても、イギリスは現預金27%、株式・有価証券が15%、ドイツが現預金36%、株式・有価証券が33%、フランスが現預金30%、株式・有価証券が28%となっております。
日本において、株式や有価証券の割合が特別に低いわけではありませんが(米国は突出してますので)、逆に、預貯金の割合が際立って高いということはできると思います。
現預金の割合が高いことはそんなに悪いことなの?と思われるでしょう。確かに、現預金は、安全確実な資産運用方法の代表選手です。ですので、この比率が高いということは、堅実で冒険を好まない日本人の生活嗜好をよく表していると言えるでしょう。ところが、次の挙げるようないくつかの観点から、今後は、資産の運用についての考え方を少しだけ変えてみることが必要になるかもしれません。
2008年9月のいわゆる「リーマンショック」以降、世界的不況により、各国の政策金利は下がり気味だと言えます。その中でも、日本の政策金利は、最低レベルになっています。

このような超低金利が続く近年「預貯金を中心とした資産運用の方法を考え直したほうがよさそうだ」と言われるようになりました。経済の成長とともに所得が伸び、貯蓄が増え、高金利がその貯蓄をさらに増やしてくれた時代は終わり、今のような低成長・低金利のなかでは、預貯金に頼っていたところで、資産は増えていきません。
右のグラフのように、国債の金利を比較してみても日本は低いことがわかります。英国と比較すると約3分の1。米国、ユーロ圏でも2分の1以下です。日本では、貯蓄や国債だけでは「積極運用」とは言えないということがお分かりいただける
と思います。
資産運用が必要な理由はまだあります。今後ますます進むと予想される少子高齢化もそのひとつです。かつて年間270万人誕生していた赤ちゃんが今では約110万人に減少しているのに対して、65歳以上の人口は増え続け、総人口に占める割合はついに22%に達しました(08年10月現在)。
このような少子高齢化社会では今後、労働力が不足し、税収や社会保障の財源が不足して国の収入は減少するでしょう。一方で年金、健康保険、介護保険など社会保障制度を支えるための支出は増えるので、国が財政難にあえぐ危険性は高く、私たちが安心して老後を過ごすためには、ある程度の自己資産が必要になります。
公的年金は、現役世代が支払う保険料で高齢者の生活を支えるしくみです。
2000年には高齢者1人を3.9人で支えていましたが、2025年には2人で1人を支えることになると見込まれています。
当然、支払総額は増え、一人あたりの受給額は減るはずで、これまでのように高齢者が年金だけで生活するのは困難になるかもしれません。
そのうえ、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)も始まり健康保険の自己負担額も重くなっています。さらには定率減税の廃止、消費税の引き上げなども現実味を帯びてきました。
社会のしくみが変わるなかで、高齢者の生活環境は厳しさを増していくことになります。
